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【レビュー】光学3倍ズームが特徴の「Zenfone Zoom」のソフト・性能・カメラをチェック

光学3倍ズームが特徴の「Zenfone Zoom」を実際に使用し、ソフト・性能・カメラをチェックしてみました。

ASUS Zenfone Zoom

Zenfone Zoomは2016年2月に発売されたASUSのスマートフォンです。

最大の特徴は、"Zoom"の名の通り強力なズーム性能を誇るカメラ
1300万画素センサに光学3倍ズームレンズを搭載しており、デジタルズームと合わせるとなんと最大12倍
加えて、強力な光学手ブレ補正や専用シャッターボタンを搭載しており、まさに"カメラスマホ"とでも言うべき端末となっています。

また、Intel Atom Z3590 2.5GHz 4コア、4GB RAM、5.5インチ フルHD液晶など高性能。スマートフォンとしても充実したスペックを備えています。

そんなZenfone Zoomですが、ZenTour 2016で実機をお借りすることができました。

今回は、実際に使用し、ソフト・性能・カメラをチェックしてみました。


※お借りしたのはメディアでレビュー用に使用された開封済み品となるため、スレやキズ等があることがあります。

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お馴染みの"Zen UI"

ソフトウェアは他のZenシリーズと同じ「Zen UI」なので、アプリや機能はほとんど同一。ZenPad 8.0Zenfone Goなどと同じような操作感で使うことが出来ます。
お馴染みのロックとホーム画面
プリインストールアプリは63個。相変わらず多いですね……。
GoogleやASUSの公式アプリに加え、Clean MasterやCM Security、Dr. Boosterなどサードパーティアプリもあります。
ドロワーに表示されているプリインストールアプリ一覧
振ったり画面に文字を書いて操作できる「ジェスチャー」機能や画面を小さく出来る「片手モード」、手袋をつけたまま操作できる「手袋モード」など便利な機能があります。
ジェスチャーや片手モード、手袋モードなどを搭載
省電力機能やメモリ管理機能(自動起動マネージャ)も搭載しています。
省電力機能(左)と自動起動マネージャ(右)
面白いと思ったのが「Laser Ruler」というアプリ。
Zenfone ZoomにはレーザーAFが搭載されているのですが、そのレーザーを利用して対象との距離を測れるようです。(最大50cmまで)
Laser Rulerで対象との距離を測定できる
ちなみにSmart Lockに顔認証(フェイスアンロック)はありませんでしたが、スマートフォンとしては珍しくマルチユーザに対応していました。
Smart Lock(左)とマルチユーザー機能(右)

カメラ機能を活かしたアプリ

カメラ機能を活かしたアプリとしては「PhotoCollage」が搭載されています。
写真を選んで好きなエフェクトやテーマを選択するだけで簡単にコラージュすることが出来ます。
写真を簡単にコラージュできる「PhotoCollage」アプリ
また、「ZenCircle」という写真SNSアプリもありました。写真を簡単に加工し、共有することが出来ます。
簡単に写真が加工できるSNSアプリ「ZenCircle」


他にも様々な機能・アプリがありました。

空きメモリは2GB

様々なプリインストールアプリがある一方、初期状態でのメモリ(RAM)空き容量は2GBとかなり余裕。トータルで4GBも搭載しているだけはありますね。

ストレージ(ROM)空き容量は110GBもあり、microSDがいらないほどです。
メモリ(左)とストレージ(右)の空き容量
ちなみに搭載しているOSは32bitですが、カーネルを64bit対応させることで4GB RAMをフルに使えるようにしているそうです。
カーネルは64bitに対応
OSはAndroid 5.0。Zenfone GoはAndroid 5.1だったので、それより古いのは意外でした。
とは言え、近々Android 6.0へのアップデートが行われるようなので、あまり心配いらないかもしれません。
OSはAndroid 5.0だが、6.0へのアップデート予定あり

ゲームもこなせる性能

定番のベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」では約66,000点でした。
※高パフォーマンス設定時。測定状態によって多少バラつきあり。

ハイエンド端末のNexus 6Pなどに搭載されているSnapdragon 810は約90,000点、その1つ下のSnapdragon 808では約75,000点です。

点数だけ見ればミドルレンジ端末といったところでしょうか。
AnTuTu Benchmarkでは約66,000点
実際の使用感としては、とにかくヌルヌル・サクサクといった印象。指に吸い付いてくるような感覚で、レスポンスは非常に良いです。カメラやメールなどを使うには十分ですね。


いくつかゲームをプレイしてみました。

3D描写や光学演出が多いアイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージですが、デフォルトでは「3D軽量」が選択されたものの、「3D標準」でも快適に動作。遅延もなく、普通にプレイ可能でした。
紙吹雪等の演出があるが、快適にプレイ出来た
爆発や煙など高負荷な演出が多いImprosion("高"設定)は、一部重い場面もあるもののストレス無くプレイできました。
爆発演出があるが普通にプレイ可能
他にもCytusやDeemoなどレスポンスが要求されるリズムゲーム、グラフィック表現がリッチなFPSやアクションゲームなどを試してみましたが、いずれもプレイに支障ない動きをしていました。

ハイエンド端末には劣るものの、ゲームなどの比較的重い作業も十分にこなせる端末だと思います。

発熱が気になることも

ただし、やはりゲーム中は発熱します。

Zoomは金属ボディなので熱が伝わりやすく、フレームやカメラ周辺が非常に熱くなります。
表面温度を測定していないので感覚での表現となりますが、ずっと持ち続けられないような熱さです。
どんな端末でも発熱するので仕方ないのですが、Zoomが搭載しているIntel Z3590は特にその傾向が強いと感じました。
CPU-Zでの表示では60度を超えることも

電池持ちは良い

流石にゲームなどをしていると減っていきますが、スリープ時の電池持ちは非常に良いです。

普通にアプリをインストールし、ずっとスリープ状態で放置した際のバッテリー変化がこちらです。
1日でたった21%の減少に留まっており、計算上は約5日間バッテリーが持つことになります。

ここまで電池持ちが良いのは、前述した省電力機能やメモリ管理機能で無駄な消費が抑えられているおかげかもしれません。
スリープ状態でのバッテリー変化

非常に高速な充電

電池持ちも良いのですが、そもそもバッテリーが少なくなったとしても短時間で充電することが出来ます。
それが「Boost Master」という9V急速充電機能で、付属の充電器を使えば0%~60%がわずか約40分で充電可能だそうです。
付属の充電器とZenfone Zoom
端末のバッテリーを0%にして実際に充電器に接続してみました。

電流・電圧計の表示は9Vとなっており、Boost Masterが機能しているようです。
9Vで充電されている
40分後に起動して確認するとなんと73%に。40分で60%は確実に充電できるようです。
出かける前の僅かな時間で充電したいときに便利ですね。
40分後に確認すると73%だった

カメラ

Zonfone Zoomのカメラ機能を試してみました。
※全ての画像は基本的にはオートモードで撮影しています。また、サイズが大きいため、リサイズしています。

ズーム機能を試す

Zoomの名の通り光学3倍ズームを搭載した本機ですが、どのくらいズームできるのか試してみました。
ズーム無し(オート)
光学3倍ズーム(オート)
ズーム無し(HDR)
光学3倍ズーム(HDR)
ズーム無し(オート)
光学3倍ズーム(オート)
デジタルズームと違って画が崩れることもなく、綺麗に拡大できています。スマートフォンとしては十分な望遠性能ではないでしょうか。

ちなみに、ズーム時は手ブレの影響が大きくなるため本体をしっかりと固定する必要がありますが、Zoomは4段相当の手ブレ補正(OIS)を搭載いるためか、ブレを気にすること無く安定して撮影することが出来ました。

ズーム機能でボケ感を出せるか?

"それっぽい"写真を撮影するために被写体の背景をボカすことが多いと思います。
一般的に望遠端で撮影するとそうなるのですが、実際に試してみました。


少ないかもしれませんが、ちゃんとしたボケ感が出ています。奥行きのある場面では使えそうです。
光学3倍ズーム(オート)
一方、このように背景と近い場面ではそれほどボケ感が出ません。奥行きが少ないと厳しそうですね。
光学3倍ズーム(オート)

単焦点モードで強いボケ感

もっとハッキリとしたボケ感を出したいなら、ズームではなく「単焦点モード」を使ったほうが良いかもしれません。
単焦点モードでは、このようにかなり強いボケ感を出すことができます。
普通に撮影した場合(左)と"単焦点モード"で撮影した場合(右)

色味がおかしい場面も

一方で、色味が若干おかしな場面もありました。

空の画像ですが、地平線と空との境界付近と上空では色が異なっており、境界付近が若干黄色み掛かっています。
Nexus 6P(下)と比べてみるとよくわかりますね。
上:Zenfone Zoom、下:Nexus 6Pで、どちらも左:オートモード、右:HDR

こちらは建物の写真ですが、どちらもオートで発生していた白飛びがHDRでは解消されている一方、Zoomは若干黄色み掛かっています。

また、Zoomは全体的な色鮮やかに仕上がっているように見えますね。(実物はNexus 6Pが近かったです)
上:Zenfone Zoom、下:Nexus 6Pで、どちらも左:オートモード、右:HDR
これらの場面以外にも、青系の場面ではおかしな色味になることが多かったです。

Zenfone Goもそうだったのですが、Zoomでも鮮やかさや明るさを重視した調整になっているようですね。
"実物をそのまま"よりも"加工して綺麗に"見せるカメラになっているのでしょうか。


こちらは夜の写真です。
Nexus 6Pはくっきりとしていますが、Zoomは全体的にノイズが多く、解像感が失われているように見えます。特に、画像右に写っているビルの窓枠などは若干ぼやけています。
上:Zenfone Zoom、下:Nexus 6Pで、どちらも左:オートモード、右:HDR
他にもいくつか撮りましたが、全体的にZoomの方が細部の表現が弱い印象でした。
特に、夜の写真のように暗い場面ではそれが顕著に出ていると感じました。

マニュアル撮影や様々な撮影モード

今回は全てオートで撮影しましたが、マニュアル撮影モードもあります。

こちらでは普通のカメラと同じようにヒストグラムや水平儀、設定値が表示されます。また、フォーカスやISO、シャッター速度など各パラメータの変更が可能です。
こだわった撮影がしたい場合には重宝しそうです。
ヒストグラムや水平儀が表示(上)され、パラメータ変更が可能(下)

マニュアル撮影以外にもたくさんの撮影モードが用意されておりシーンや好みに合わせた撮影が可能。
更に、全てではありませんが撮影時に最適なモードを教えてくれます。
様々な撮影モード(上)があるが、最適なモードを教えてくれる(下)

RAW撮影には非対応

残念なことに、RAW撮影には非対応。JPEGで出力されてしまいます。

また、Android 5.0から追加されたカメラ操作API"Camera 2"には非対応。そのため、標準カメラアプリ以外のアプリではマニュアル撮影出来ません

カメラにこだわる端末ならばこの辺も抑えて欲しかったです。
カメラAPI"Camera2"には非対応

フォーカス・シャッター音が大きい

気になったのがフォーカス・シャッター音が大きいこと。
屋外ではそれほどではありませんが、レストランやカフェなど屋内では非常に目立つため撮るのがためらわれます。

消音にして欲しいとまでは言いませんが、もう少し目立たないようにして欲しいですね。

フルHD動画撮影では手ブレ補正が無効に

フルHD動画撮影では手ブレ補正機能が無効化されてしまいます。1つ下の720p撮影では有効になるため、非常に残念です。

まとめ

便利なアプリや機能、余裕のあるメモリやストレージ、ゲームもこなせる性能などスマートフォンとしては良い端末だと思います。
前回のレビューの通り、本革製バックカバーや金属ボディなど、このクラスの端末としてはデザインも良いです。


その一方で、カメラはあくまでもスマホ止まりといった印象でした。

画作りがおかしい場面があったり、RAW撮影やAPIに非対応だったりなど本格的なカメラとしては足りない部分があり、"普通のスマホに光学ズームを搭載しただけ"という感じで中途半端になってしまっていると感じました。

また、途中で比較している通り、Nexus 6Pのようにもっと自然に綺麗に撮れる端末もありますし、フルHD動画で手ブレ補正が効かないなど不満な点もあります。

カメラ性能の高さを前面に押し出した本機ですが、結局のところ"スマホのカメラ"という域からは出ておらず、ちょっと残念な結果でした。


どちらかと言うと、本機はカメラ自体の基本性能よりも光学ズーム機能を求める方向けの端末だと思います。
加えて、CPUとROMが落ちるものの、最安モデルは49,800円と光学ズーム付きスマホとしてはかなり低価格です。

カメラは普通でいいが光学ズーム機能が欲しい、そしてスマホとしてキチンと動いて欲しいが安い方がいい」という方に最適な端末ではないでしょうか。

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