ニュース

Snapdragon 820&4GB RAM搭載で約2万円の「Lenovo ZUK Z2」レビュー

Snapdragon 820&4GB RAM搭載で約2万円の「Lenovo ZUK Z2」のレビューです。外観や実際に使ってみた感想などを書いています。

Lenovo ZUK Z2

Lenovo ZUK Z2は、中国のLenovo傘下ZUKのスマートフォンです。
5インチ フルHD液晶、Snapdragon 820、4GB RAM、3,500mAhバッテリーを搭載し、4G+3GのDSDSにも対応したハイスペックな端末ですが、なんと実売約2万円という低価格で販売されています。

今回は海外端末などを販売するGearBestからZUK Z2の実機を提供して頂いたので、外観や使用感などをレビューしていきたいと思います。

メーカーZUK (Lenovo傘下)
名称ZUK Z2
モデルZ2131
価格(メーカー定価)1,499元≒25,000円 (White) / 1,599元≒26,700円 (Black) ※2017/1/22時点
OSZUI (Android 6.0 "Marshmallow")
SoC
CPUQualcomm Snapdragon 820 MSM8996 4コア (2.15GHz x2 + 1.6GHz)
GPUQualcomm Adreno 530 624MHz
RAM4GB LPDDR4 1866MHz
ROM64GB eMMC 5.1/5.0
画面5.0インチ FHD(1920 x 1080) 441ppi / LTPS LCD(液晶)
サイズ高さ:141.65mm / 幅:68.88mm / 厚さ:8.45mm
重さ149g
バッテリー3,500mAh
通信
2G(GSM)850 / 900 / 1800 / 1900
3G(W-CDMA)1 / 2 / 4 / 5 / 6 / 8 / 9 / 19 + TD-SCDMA: 34 / 39
3G(CDMA2000)0 (800MHz)
4G(FDD LTE)1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8
4G(TDD LTE)38 / 39 / 40 / 41
リアカメラ13MP Samsung ISOCELL f/2.2 1.34μm / 位相差AF / 4K / HDR / 960fps スローモーション
フロントカメラ8MP 1.4μm f/2.0
SIMnanoSIM x2 (SIMロックフリー) / 4G+3G DSDS
microSD非対応
接続端子USB Type-C (USB 2.0) / 3.5mmイヤホンジャック
無線通信Bluetooth 4.1 / Wi-Fi IEEE 802.11 ac/a/b/g/n 2.4&5GHz
スピーカーモノラルスピーカー
センサGSNN (GPS/GLONASS/BeiDou/galileo) / 指紋
Black / White
備考ブートローダーのアンロックが可能

USB Type-Cケーブルと充電器が付属

パッケージ画像はホワイトですが、中身はブラックでした。
裏面のシールには「联想(Lenovo) ZUK Z2 Z2131」と書かれています。この端末の型番みたいです。
RAM 4GB/ROM 64GBのモデルで、製造日は2016年7月でした。
何故かホワイトの端末画像が印刷されたパッケージ
型番は「联想(Lenovo) ZUK Z2 Z2131」
本体の下には黒いカードが入っていました。何かのクーポンなようです。
付属品はSIMピン、USB Type-C to AケーブルUSB充電器です。充電器は日本でも使えるタイプのコンセントでした。
一番上に端末本体
「ZUK」と書かれた黒いカードが同梱
何かのクーポン券?
SIMピンも付属
USB Type-C to Aケーブル、USB充電器も付属
必要なものは一通り揃っているので買ってそのまま使えます。
特にUSB Type-Cケーブルが付属しているのは良いですね。まだ普及し始めたばかりなので、ケーブルを持っていない方もいるのではないでしょうか。
内容物一覧
なお、付属のUSB充電器は出力 5.3V/2.5Aでした。普通のUSBは5Vなので、若干高めでしょうか。
USB充電器は5.3V/2.5A出力
ちなみに、最初から画面保護フィルムが貼られています……が、透明度が低いので常用には適さないと思います。剥がして使うか、別途代わりのフィルムを用意する必要がありますね。
裏面にも貼られていますが、こちらはメーカーの品質認証シールなどが上から貼られてしまっているので剥がしたほうが無難です。
最初から画面保護フィルムが貼られていた

全面ガラスのフラットデザイン

前面と背面はツルツルした全面ガラス。2.5Dエッジでラウンドしており、美しく手触りの良い仕上がりです。
ホームボタンやカメラの出っ張りはほとんど無く、フルフラットなデザインです。
前面
背面
前・背面共に2.5Dエッジ
ほとんど出っ張っていないカメラ
一方で、フラットすぎて滑りすぎるという弊害も。背面を下に置いた場合、このように机を傾けただけで滑り落ちてしまいます。
知らぬ間に端末が滑り落ちて壊れていたという事態にもなりかねないので、置き場所に注意しましょう。保護ケースを着けるのもありだと思います。

また、2週間程度使用しただけで、画像のようなキズが前・背面共に多数ついてしまいました。あまり硬度の高くないガラスを使用しているようなので、キズを付けたくない方は保護フィルムやケースが必須でしょう。
擦りキズが多数(画像は視認性のためにかなり明るめにしています)

ちなみに、通知LEDは前面の右上に搭載されていますが、視認性に難ありです。ちょっとでも斜めから見るとかなり暗く、わかりづらいです。
正面から見た通知LED
斜めから見た通知LED。非常に暗く、わかりづらい

スッキリした印象の側面

イヤホンジャック、USB Type-Cポート、マイク、スピーカーなどの穴のあるインターフェースは下面に集約されています。ここ以外の面はほとんどフラットなので、全体的にスッキリした印象です。
イヤホンジャック、USB Type-Cポート、マイク、スピーカーのある下面
何もなくフラットな上面
SIMスロット、電源ボタン、音量ボタンは右側にあります。クリック感も良く押しやすいです。
SIMスロット、電源ボタン、音量ボタンのある右面
フラットな左面
ただし、質感はチープな印象。金属が使われているようなのですが、塗装のせいでプラスチックっぽく見えます。折角の金属なのにこの仕上げ方は残念です。
金属なのにプラスチックっぽいチープな質感

指紋認証対応ホームボタンを使った独特な操作

前面下部に配置されたホームボタンは指紋認証センサを兼ねており、押し込まずに軽く触れるだけで画面ロックを解除できます。認識が速く精度も良いので快適です。
指紋認証センサを兼ねたホームボタン

また、ホームボタンは端末の操作にも使用されます。一般的なAndroid端末は「戻る」「ホーム」「アプリ履歴」の3つのボタンで操作を行いますが、本機では「U-タッチ」という機能でホームボタン1つに全て集約。ダブルタップや長押し、左右スワイプといったジェスチャーで操作を行います。
端末の操作はホームボタン1つのみで行う
デフォルトでは、
  • 軽くタッチすると戻る
  • 押し込みでホーム
  • 2回押し込みでアプリ履歴
  • 左右スワイプでアプリ切り替え
といった感じです。

Androidで1ボタン操作というのがイレギュラーなので、正直使いにくい操作だなと感じました。初めて使う方は間違いなく戸惑うでしょう。

ホームボタンの押し込み感は安っぽく、カチャカチャ音が鳴り使い心地が悪いです。これを何度も押させる操作を採用しているため結構気になりますね。

~2017/1/26追記~
公式ROMではオンスクリーンキー(ナビゲーションバー)の表示が可能でした。公式ROMへの書き換え方法は下記「余談:root化やカスタムROMについて」を参照して下さい。

iOSライクなデザイン

ベースとなっているのはAndroid 6.0ですが、デザインは大幅に改変されておりiOSっぽくなっています。アプリ履歴画面はそっくりですね。
下から画面をスワイプアップするとクイック設定パネルが出現します。パネルの内容は設定から変更できます。
iOSっぽいデザイン
画面端からのスワイプアップで表示されるクイック設定パネル
ご覧の通り、日本語表示は可能ですが翻訳がめちゃくちゃです。下の画像はなんとか理解できるレベルですが、全く意味不明な部分もありました。英語表示のまま使用したほうがいいかもしれません。
日本語訳がおかしいところが多数
標準のホームにはアプリ一覧(ドロワー)が無く、画面にそのまま並べられています。ここもiOSっぽいですね……。
メーカー独自アプリなどもありますが、それほど多くありません。
また、Google Playストアがインストールされており、アカウントを追加してそのまま利用可能です。ZUK公式ROMの時点でこうなっているのか、いわゆる"ショップROM"なのかはわかりませんでした。
→ショップROMでした。公式ROMへの書き換え方法は下記「余談:root化やカスタムROMについて」を参照して下さい。
標準のホーム画面
4GB RAM&64GB ROM搭載なだけあってかなり余裕がありますね。たくさんのアプリをインストールし、同時に動作させても全く問題ないでしょう。
RAMとストレージの空き容量は十分

カメラは価格なりの写り

どことなくiOSに似た雰囲気でかなりスッキリしています。
上のメニューをリングアイコンをタップすると、HDRやHFR(スローモーション)などの設定ができます。
また、画面を右にスワイプすることで撮影モードの切り替えが可能です。
カメラ撮影画面
メインカメラは13MPで、4k動画撮影が可能。最大960fpsのスローモーション動画撮影もできます。
13MPカメラ搭載で4k動画撮影も可能

カメラ性能に定評のあるNexus 6Pと比較してみました。HDR以外の設定はデフォルト(もしくはオート)です。
※画像はファイル容量削減のために縮小しています。

昼間にHDR ONで撮影した画像です。色に深みが無く、鮮やかさが弱いですね。
右の拡大画像を見てみると、石表面のデコボコなどのディテールが表現できていません。右の窓枠周辺はノイズが多く、油絵のようになっています。
国立科学博物館(上:ZUK Z2 / 下:Nexus 6P)
食べ物を撮影してみました。ZUK Z2はご飯の一部が白飛びし、潰れてしまっています。
すき屋 まぜのっけごはん朝食(上:ZUK Z2 / 下:Nexus 6P、左:HDR OFF / 右:HDR ON)
最後に、撮影が難しい夜の画像です。ZUK Z2は、HDRが非常に良く効いているものの、中央の看板辺りが明るすぎて飛んでしまっています。色も若干薄い印象です。
関越自動車道 三芳PA(上:ZUK Z2 / 下:Nexus 6P、左:HDR OFF / 右:HDR ON)
これら以外にもいろいろ撮影してみたのですが、全体的な印象として
  • 明るめで、白飛びする場合も
  • 色が薄く、深みがない
  • 細かい表現が苦手で、ノイズが多い
といった感じでした。

悪くはないのですが、Nexus 6Pのような価格の高いハイエンド端末と比べるとやはり劣っています。2万円という価格なりの写りですね。

DSDSは4G+3Gに対応

ZUK Z2はDSDSに対応しており、2枚のSIMの同時待ち受けが可能です。4G+3Gの組み合わせに対応しています。
ネットワーク設定画面にも2枚のSIMが表示されています。通話やデータ通信時にどちらのSIMを使うかといった設定が可能です。
nanoSIMを2枚挿入可能

SIMの設定画面。APNはNTT docomoと何故かIIJmioがプリセット(mineoは追加した)

ということで、実際にDSDSを試してみた……と言いたいところなのですが、トラブルにより検証できませんでした。
というのも、何故かmineo D SIMを挿してもピクトが表示されず、一切通信できないという事態に。SMS無し/付きの2つのデータSIMで試したのですが、両方共にダメでした。

NTT docomo SIMでは通話・データ通信可能だったので、SIMスロットの故障というわけでは無いようです。
MVNOだったのでダメだったのでしょうか…?

余談:root化やカスタムROMについて

ZUK Z2はBootloaderのUnlockが可能でroot化やカスタムROM導入を自由にできるようです。
※Unlockすると修理等の公式サポートが受けられなくなります。

ただし、Unlockは公式サイトから申請する必要があるようです。詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

カスタムROMは非公式版CyanogenMod 14.1(現 Lineage OS)などがリリースされていますが、Nexusなどと比較すると全体的に少ないようです。
また、CM14.1も含めて有志個人による非公式ビルドが大半で、あまり更新はされていないようでした。
自分でソースからビルドできるなら問題ないと思いますが、既にビルドされているROMをダウンロードして使う場合はあまり期待できないかもしれません。
ZUK Z2のカスタムROMについて詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

なお、公式ROM(Factory Image)はBootloaderをUnlockすることなく導入可能です。詳しい手順はこちらの記事を参照して下さい。

まとめ

良い点

  • ハイエンドクラスの高いスペック
  • 全面ガラスのフラットなデザイン
  • 2.5Dの両面ガラス
  • 非常に安い(約2万円)
  • 高速で正確な指紋認証
  • 4G+3GのDSDS対応

悪い点

  • 安っぽい側面フレーム、ホームボタン
  • キズが付きやすい背面
  • 価格なりなカメラ(他のスペックに比して貧弱)
  • 使いづらいUI
  • 日本語訳がめちゃくちゃ
  • (mineo D SIMが使用できない)
    ※私の環境のせいかもしれません

総評

スペックが良く、何より値段が安い(2万円以下)のが魅力です。Snapdragon 820、4GB RAMとハイエンドスペックなのにこの値段はありえないと思います。

その一方で、側面やボタン、カメラ画質など各所で"安さ"を感じました。8~9万円するような"本当の"ハイエンド端末と比較するとやはりお金が掛かっていません。
ただし、作り自体が雑なわけではありません。品質には問題なく、可能な範囲でコスト低減が行われている感じです。

また、ソフトが使いづらいと思いました。極端にiOSに寄せられているUIは、シングルボタン操作が前提でAndroid標準ではありえません。日本語訳はめちゃくちゃで、機械翻訳そのままという印象です。
日本ではメーカー公式のサポートも期待できませんし、初心者の方にはかなり厳しいのではないかと思います。


確かに高性能・低価格でコストパフォーマンスは良いかもしれませんが、クセが強く、万人にオススメできる端末ではありません。

ある程度Androidを知っていて、本機の特性を理解できる玄人向けの端末でしょう。ブートローダーのアンロックができますし、安くてハイスペックな端末にROMを入れて遊びたいというような方に最適だと思います。


Lenovo ZUK Z2はGearBestなどで約22,000円で販売されています。

Powered by Blogger.