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【LTE B19】海外版XperiaのNTTdocomoプラスエリア対応化について

海外版XperiaのNTTdocomoプラスエリア(800MHz)対応化(3G/LTE)についてです。
書き換える内容や具体的な方法などを書いています。

2014/12/23…対応できる端末に関して追記

プラスエリアとは

 プラスエリアとは、NTTdocomoサービスエリアの内、800MHz帯(WCDMAのBand6,19、LTEのBand19)がサービスされている地域のことを言います。この帯域は、他の帯域では電波の届きにくい山間部や都市部のビルなどで使われているため、プラスエリア対応/非対応によって通信利便性が左右(特に、地方部で)されます。
 NTTdocomoから販売されている最近の端末はもちろんフルに対応していますが、海外端末などは対応していないことが多いです。
 プラスエリアのみがサービスされている地域はこちら(FOMA/Xi)から確認可能です。(FOMAは凡例の「FOMAプラスエリア」が、Xi(LTE)は凡例の「LTEエリア(800MHz)」が該当)
 なお、表示されているのは800MHz帯のみがサービスされている地域であり、表示以外の地域でもサービスされている場合があることに注意が必要です。
オレンジで表示されているのが800MHz帯LTEエリア
なお、国内キャリア各社のサービスバンドは以下の通りです。(赤丸がプラスエリア周波数帯:800MHz)
WCDMA(3G) 16891119
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile

LTE(4G)13811181921262841
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile
au
※auのBand26に関して、MFBI方式(Multi-Frequency Band Indicator)でB18をB26としても運用
※Band28に関して、2015年以降に運用開始

NVの書き換えとRFNVの移植

海外版Xperiaが対応しているバンド

 モデルによって異なりますが、基本的にどのXperiaでも少なくとも以下のバンドには対応しています。(例外有り)
  • WCDMA…Band:1/5
  • LTE…Band:1/3/5
 このように、同じ800MHz帯であるBand5(Band6/19を内包)に対応しているため、対応バンドを書き換えることでNTTdocomoプラスエリアを掴める可能性があります。

対応バンドの書き換え

 実際には、NV(NVM)のみの書き換えでWCDMA Band6/19は対応できることがわかっていましたが、LTE Band19は対応出来ていませんでした。
 しかし、最近の検証により、Nexus 5(LG-D821)のように他の端末のRFNV(EFS)を移植することでLTE B19にも対応できることが判明しました。

この方法によって対応できる端末

「Xperia Z1 f SO-02F」のRFNVを移植(SoCがSnapdragon 800 MSM8974)

 以下の端末以外でも、同じSoCを使用している端末ならば対応できる可能性があります。
 どうやら、Xperia Z1 f SO-02Fのrfnvでは、SoCが「Snapdragon 800 MSM8974」の端末でないと対応できないようです。
 つまり、対応させたい端末とRFNV移植元の端末のSoCが一致している必要があるということのようです。
 実際に、Xperia Z C6603で検証しましたが、対応することが出来ませんでした。(詳しくは「検証」の項を参照)

具体的な方法

 書き換えが必要な項目は、NV(NVM)の1877番(441番・946番・2954番は必要に応じて)・1878番6828番です。また、RFNVの移植も必要になります。
 全体的な流れは以下の通りです。
  1. NV(NVM)の1877番を書き換えて、FOMAプラスエリア対応化
  2. NV(NVM)の1878番を17(10進数)に書き換える
  3. NV(NVM)の6828番を書き換え、LTE B1/3/19のみを有効化
  4. LTE B19関連のRFNVを移植

準備

 XperiaをDIAGモードで接続し、ツールを使って書き換えられるようにします。
 DIAGモードへの切替方法とドライバのインストールはこちらのページを参照して下さい。(Xperia Z C6603の記事ですが、他の端末でも同様です)

書き換えツール

 書き換えツールには様々ありますが、例として無料の「DFS CDMA Tool」を挙げておきます。このツール1つで、NV(NVM)とEFS(RFNV)の移植を行うことが出来ます。
 使用方法などは、こちらの記事を参照して下さい。

バックアップ

 この方法を行うことで、最悪、全く起動しない・通信ができない状態になる場合があります!
 ftfで元に戻せるようにしておくだけではなく、念のためパーティションのバックアップ(特に、modemやefs)を取っておくことを強くおすすめします。

NV(NVM)の書き換え

  • 1877番(FOMAプラスエリア対応)
     こちらの記事を参考にWCDMA:6/19を追加した値に書き換え(441番・946番・2954番は必要に応じて)
  • 1878番(LTEプラスエリア対応)
     どのような規則で表記されているのか不明。現時点では、Xperia Z1 f SO-02Fの値と同じ値に書き換えているようです。
    • 10進数:17(Xperia Z1 f SO-02Fと同じ)
  • 6828番(LTEプラスエリア対応)
     Band:1/3/19のみを有効にするようです(他を有効にするとエラーが出る?)
    • 10進数:262149
    • 2進数:1000000000000000101

RFNV(EFS)の移植

 RFNVの内、B19に関連するものを移植します。

必要なファイル

  • Xperia Z1 f SO-02FのRFNV(LTE B19関連)
     こちらから「SO-02F rfnv 25 LTE B19.zip」をダウンロードします。
    ※既に、端末に存在しているRFNVがある場合は、それ以外を移植して下さい。
    ※このRFNVで対応できるのは恐らく「Snapdragon 800 MSM8974」を搭載した端末のみです。
 全ての作業が完了したら、端末を再起動して下さい。

検証

検証端末

  • 端末
     Xperia Z C6603
  • Androidバージョン
     Android 4.4.4
  • ビルド番号
     10.5.1.A.0.292
 Xperia ZのDIAGモードへの切替方法とドライバのインストールはこちらのページを参照して下さい。

検証内容

 上記の方法を行った後、6828番をBand19のみ有効にし、NTTdocomoにLTE接続できるかを検証しました。
 検証時には、LTE Onlyに設定しました。

対応バンド

 2G/3Gは省略しています。
  • 書き換え前
    LTE…1/3/5/7/20
  • 書き換え後
    LTE…19(本来は1/3/19)

検証結果

 電波をつかむことが出来ず、途中で再起動してしまうなど動作が不安定になりました。
 Xperia Z C6603では、Xperia Z1 f SO-02Fのrfnvを移植する方法では対応することが出来ないようです。
 Xperia Z C6603は、SoCが「Snapdragon S4 Pro APQ8064(CPU)+MDM9215M(モデム)」となっています。Xperia Z1 f SO-02Fは、「Snapdragon 800 MSM8974」であるため、このRFNVを移植しても対応できなかったのではと考えられます。
 逆に、Xperia Z SO-02EのRFNVを移植すれば対応できる可能性があります。

その他

NV(NVM)の1878番について

 今回の方法では、LTE B19の有効化にNV(NVM)の1878番が重要であるそうです。
 しかし、この番号周辺は3Gに関する設定値がほとんどであり、何故3GなのにLTEに関わっているのかという疑問が生じます。
 可能性としては、
  1. 本当にLTEと関連している(かなり疑問)
  2. Sonyのみが使用している独自パラメータ
 などが考えられます。
 どのような規則で値が決められているかも不明なため、もう少し検証する必要がありそうです。
(ご存じの方がいましたら教えていただけると非常にありがたいです)

移植するRFNVについて

 今回は、Xperia Z1 f SO-02Fのものを移植していますが、可能ならば同じ端末のNTTdocomo版のものを移植するのがベストだと思います。(例:Xperia Z C6603ならばNTTdocomo版のSO-02E)

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