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【LTE B19】Nexus 5(LG-D821)のNTTdocomoプラスエリア(800MHz)対応化について

 Nexus 5(LG-D821)のNTTdocomoプラスエリア(800MHz)対応について、実機(日本GP版  LG-D821)を使用できる機会があったので検証してみました。

LTEプラスエリア(Band19)を掴み、Band19で通信できたとの報告がありました。詳細は記事最下部に記載しています。

2014/12/4…書き換えツールの使い方について追記
2014/12/2…「他端末のRFNVを移植してLTE Band19に対応させる方法」に改称・更新
2014/11/13,12,10/21,18,16…「L-01FのRFNVを移植してLTE Band19に対応させる方法」を更新
2014/9/18,8/30…「RFNVの移植を行い、Band19で実際に通信ができた」報告について追記
2014/6/7…「Band19で通信ができた」報告について追記
2014/4/19…「再起動すると書き換えた値が戻ってしまう」問題について更に追記
2014/3/19…検証準備としてNexus 5をDIAGモードで接続する方法の記事リンクを追加

プラスエリアとは

 プラスエリアとは、NTTdocomoサービスエリアの内、800MHz帯(WCDMAのBand6,19、LTEのBand19)がサービスされている地域のことを言います。この帯域は、他の帯域では電波の届きにくい山間部や都市部のビルなどで使われているため、プラスエリア対応/非対応かによって通信利便性が左右(特に、地方部で)されます。
 プラスエリアのみがサービスされている地域はこちら(FOMA/Xi)から確認可能です。(FOMAは凡例の「FOMAプラスエリア」が、Xi(LTE)は凡例の「LTEエリア(800MHz)」が該当)
 なお、表示されているのは800MHz帯のみがサービスされている地域であり、表示以外の地域でもサービスされている場合があることに注意が必要です。
オレンジで表示されているのが800MHz帯LTEエリア
NTTdocomoから販売されている最近の端末はもちろんフルに対応していますが、海外端末などは対応していないことが多いです。

 なお、国内キャリア各社のサービスバンドは以下の通りです。(赤丸がプラスエリア周波数帯:800MHz)
WCDMA(3G) 16891119
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile

LTE(4G)13811181921262841
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile
au
※auのBand26に関して、MFBI方式(Multi-Frequency Band Indicator)でB18をB26としても運用
※Band28に関して、2015年以降に運用開始

Nexus 5が対応しているバンド

 Nexus 5(LG-D821)が対応しているバンドは以下の通りです。(2Gは割愛)
  • WCDMA…Band:1/2/4/5/6/8
  • LTE…Band:1/3/5/7/8/20
 赤字がNTTdocomoがサービスしているバンド、黒太字が他社のみサービスしているバンドです。
※LTE Band8は2014/4からサービス予定

 以上のように、プラスエリアに関して、WCDMAはBand6のみ対応、LTEはそもそも対応していません
 しかしながら、北米などで販売されているNexus 5LG-D820)はWCDMA:Band6,19、LTE:Band19に対応しています。
 同じNexus5なら型番が違っていてもBand19対応できるのではないかと思い、バンドを書き換えることで検証しました。

対応バンドの書き換え

 具体的な書き換え方法については「Android端末の対応バンドの変更について(NTTdocomoプラスエリア対応など)」を参照して下さい。

準備

 Nexus 5をDIAGモードで接続し、ツールを使ってバンドを書き換えられるようにします。
 DIAGモードでPCに接続する方法「【Nexus 5】Nexus 5をDIAGモードでPCに接続する」を、書き換えツールについて「【DFS CDMA Tool】Android端末の対応バンド変更やNV・EFS(RFNV)の編集が出来る無料ツール「DFS CDMA Tool」の使い方」を参照して下さい。

検証内容

 WCDMA、LTE共にBand19を追加し、Band1,3を無効にすることでBand19以外を掴めないようにした。その状態でネットワーク検索をし、NTTdocomoだけが事業者として表示されるかをWCDMA Only,LTE Onlyそれぞれについて確認した。
 以下が、検証時の対応バンド一覧(青字が追加分)。
  • WCDMA…Band:2/4/5/6/8/19
  • LTE…Band:5/7/8/19/20
※全く書き換えていないデフォルト状態では、事業者にWCDMAは「NTT DOCOMO」・「SOFTBANK」、LTEは「JP DOCOMO」・「SOFTBANK」・「KDDI」・「EMOBILE」が表示されていました。

※LTEに関して、デフォルト状態からBand3のみを無効にして端末を再起動すると「EMOBILE」が表示されなくなったので、再起動しても変更が維持されていること、各Bandの有効/無効が機能していることは確認済みです。

~2014/4/19追記~
 書き換えたNV(NVM)が元に戻ってしまう場合に、ServiceCode入力を行うことで値が維持されたとの報告がありました。
 ServiceCode入力については、「ガジェットショット」様の「【root不要】Nexus 5 LG-D820でLTE Band 41 (WiMAX2+/SoftBank 4G) を有効化する方法」を参照してください。

検証結果

WCDMAに関して

Band1を無効にすると、ネットワーク検索がエラーとなり検索を行うことが出来なかったため、WCDMA Band19を掴むことが出来るか不明。(多くの端末で、この方法によって対応できているので、恐らく通信可能

LTEに関して

 NTTdocomoのみが表示され、LTE Band19を掴んでいることを確認。通信可能かは不明。
RFNVを他の対応端末から移植することで通信可能になることが判明しました。詳しくは「他端末のRFNVを移植してLTE Band19に対応させる方法」の項目を参照して下さい。

結論

 Nexus 5(LG-D821)はLTE Band19を掴むことができました!
 やはり、LG-D820が対応していることもあり、バンド変更を行うだけで掴めるようです。
 日本ではサービスされていない他のLG-D820対応バンドも追加したら掴む可能性もあり、D820とD821のハイブリットのようなことも出来るかもしれません。
 但し、今回は事業者検索が出来るかのみの検証でしたので、実際に通信が出来るかまでは確認していません
 また、Band41についても同様に検証してみたのですが、掴むことが出来ませんでした…。(検証場所はAXGP,WiMAX2+サービスエリア内)

~2014/11/17追記~
 こちらのサービスマニュアルによれば、LG-D821にはLTE B41の部品が一部搭載されていないため、B41対応はかなり難しいと思われます。

その他

他端末のRFNVの移植

~2014/8/30追記~
 LG G2(L-01F)から取り出したRFNV(NV(NVM)65537番以降部分)の内、Nexus 5に含まれていない部分を全て移植し、6828番・6829番にBand19を追加することで、「connected」になり、実際に通信できたとの報告がありました。
 但し、同じようにやったが掴めなかったとの報告もあります。(「【マイナー周波数】スマホでプラスエリア Part3」の266~278を参照)
 L-01FをDIAGモードでPCに接続する方法は「【LG G2】LG G2(L-01F/LGL22)をDIAGモードでPCに接続する」を参照して下さい。
※可能ならば、LG-D820のBand19に関するRFNVを移植することをおすすめします。

~2014/9/18追記~
 2014/8/30に追記した方法(L-01Fから79個のファイルを移植)で通信ができたという報告がありました。(「【マイナー周波数】スマホでプラスエリア Part3」の344を参照)
 L-01FのRFNVを移植することでLTE Band19で通信できるようになると確実に言えそうです。

~2014/6/7追記~
 LTE engineering画面で「connected」になり、実際に通信できたとの報告がありました。報告では、6828番・6829番共に全てのビットを「1」で埋める(=全てのバンドを有効に設定する)ことで通信できたそうです。ただし、頻繁にidelとsearchingとconnectedを繰り返してしまうそうです。(「【ROM焼き】Nexus 5 root9」の61,72,74を参照)
LTE engineering画面を見ると、idleとsearchingを繰り返してしまい、通信ができないとの報告がありました。この記事では、単純にバンドを有効化しただけですので他の項目も設定することで通信できる可能性があります。

他端末のRFNVを移植してLTE Band19に対応させる方法

 WCDMA Band19に関しては、上記で検証した方法で有効化・通信出来ると思いますが、LTE Band19に関しては、有効化は出来ても通信はできていませんでした。
 ところが、他端末のRFNVを移植するとLTE Band19でも通信できるそうです。その手順について簡単に書いておきます。
(参考:「【マイナー周波数】スマホでプラスエリア Part3」の446~562(L-01Fにて検証))

※efsパーティション(modemst1/modemst2)をバックアップしておくことを"強く"おすすめします!最悪、全く起動しない・通信ができない状態になる場合があります!(パーティションのバックアップに関する詳細は「Android端末の全パーティションのバックアップ」を参照して下さい。)

必要なファイル

  • Nexus 5(LG-D820)のRFNV
     こちらから「LG-D820 rfnv 2 of 13 diff LG-D821.zip」をダウンロードします。
     Nexus 5(LG-D821)には存在しない2個のRFNVを移植します。

書き換えツールについて

 書き換えツールには様々ありますが、例として無料の「DFS CDMA Tool」を挙げておきます。このツール1つで、NV(NVM)とEFS(RFNV)の移植を行うことが可能です。
 使用方法や書き換え方などは「【DFS CDMA Tool】Android端末の対応バンド変更やNV・EFS(RFNV)の編集が出来る無料ツール「DFS CDMA Tool」の使い方」を参照して下さい。

手順

 6828番と6829番や値表記の形式(2・16進数/リトルエンディアンなど)に関する詳しい情報「Android端末の対応バンドの変更について(NTTdocomoプラスエリア対応など)」を参照して下さい。
  1. 端末をDIAGモードに切り替え、書き換えツールと接続する。
  2. RFNVを移植する前に、Nexus 5のRFNVを全てコピーし、バックアップしておく。
    必ずバックアップしておいて下さい!
  3. 移植元端末のRFNVをNexus 5(LG-D821)に移植する。
  4. NV(NVM)の6828番・6829番を以下の通りに書き換える。
    Band 1,3,7,8,19を有効…Band20が有効だと競合するらしく、無効にすることが重要
    • 2進数の例:1000000000011010101
    • 10進数の例:262357
    • 16進数の例:0400D5
    • 16進数(リトルエンディアン)の例:D50004
  5. 端末を再起動する。
 手順4で書き込んだ値が維持されない場合は、書き込み前にServiceCode入力を行って下さい。ServiceCode入力については、こちらの「【root不要】Nexus 5 LG-D820でLTE Band 41 (WiMAX2+/SoftBank 4G) を有効化する方法」を参照してください。

RFNVの移植の検証

L-01FのRFNV

 国内で販売されているLG G2(L-01F)のRFNV移植についての検証です。
 LG G2(L-01F)の場合、Nexus 5(LG-D821)とのRFNVの差分は、79ファイルあります。
 その内訳は以下の通りです。
  1. 20019~22910:EDGE・GSMやWCDMA関連
  2. 22941~22971:該当なし
  3. 23137~23187/24201/24950:LTE B21関連
  4. 24200:LTE B19関連
  5. 23759:RFNV LTE C0 SPURS TABLE(?)
 上記のように、LTE B19に直接関係無さそうなもの(1,3)が含まれていることがわかります。
 2,4,5部分だけの移植も十分であると予想され、実際に通信可能であると確認されました。
 また、その2,4,5部分について、更なる検証が行われた結果、「22969 / 24200」の全2ファイルのみの移植でLTE B19を掴み、通信することが出来ると判明しました。
 ちなみに、「22969 / 24200」はそれぞれ
  • 22969…RFNV_LTE_B19_TX_MULTI_LIN_DATA_I
  • 24200…RFNV_LTE_B19_C1_RX_GAIN_I_I
 という名前らしく、どうやらLTE B19の送信関連とゲイン関連の設定値であるようです。
 しかし、この2ファイルのみで通信することが出来ているものの、LG-D821に元々含まれているLTE B19関連の設定値がLG-D820とかなり異なるため、このままではあまり感度・電池持ちが良くない可能性があります。他の設定値もLG-D820に揃えて調整することで、感度・電池持ちをより良くすることが出来るかもしれません。

LG-D820のRFNV

 北米で販売されているNexus 5(LG-D820)のRFNV移植についての検証です。
 LG-D820は、LG-D821とほぼ同一設計であるため、RFNV移植元としては最適です。
 Nexus 5(LG-D820)の場合、Nexus 5(LG-D821)とのRFNVの差分は13ファイルあります。
 その内訳は以下の通りです。
  1. 22941/22942/22946:CDMA関連(BC0/BC1/BC10)
  2. 24198/24202/24229:LTE B4関連
  3. 24227/24240/24246/24694/23389:LTE B2/B17/B25/B26/B41関連
  4. 22969/24200:LTE B19関連
 上記のように、LTE B19関連のRFNVはLG G2(L-01F)と同じく「22969/24200」だけであることがわかります。
 実際に、Nexus 5(LG-D820)のRFNV(22969/24200)を移植し、通信可能であると確認されています。

結論

 現在のところ、「Nexus 5(LG-D820)のRFNV(22969/24200)を移植し、NV値を書き換える」というのか一番有力なLTE B19で通信可能にする方法になります。

関連情報

  • 【マイナー周波数】スマホでプラスエリア Part3
     今回の手法に関する検証など
  • Nexus 5のNV/RFNV(LG-D820とLG-D821)
     こちらの「D820 D821 NO IMEI RFNV_NO_PREFMODE.zip」からダウンロード可能です。
     xmlファイルに記載されています。(NvItem id="20085"以降がRFNV、それより前がNV)
  • Nexus 5のサービスマニュアル(LG-D820とLG-D821)
     こちらの「D820 service manual」と「D821 service manual」からダウンロード可能です。
  • Nexus 5(LG-D820/821)/LG G2(L-01F)/Sony Xperia Z1f(SO-02F)のRFNV
     こちらのページの各端末「RFNV」の項目から参照して下さい。
    464(◆zleTVn83.Y)氏がGoogleドライブにまとめているファイルを元にしています(まとめ大変感謝致します)。
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