Android端末の対応バンドの変更における「RF BC Config」と「Band Preferred」についてまとめてました。
それぞれの役割や「無線バンドを選択」との関係などについて書いています。
それぞれの役割や「無線バンドを選択」との関係などについて書いています。
はじめに
Android端末の対応バンドの変更について基本的な内容は「Android端末の対応バンドの変更について(NTTdocomoプラスエリア対応など)」をご覧下さい。「RF BC Config」と「Band Preferred」とは
「RF BC Config」と「Band Preferred」とは、NV(NVM)において2G/3Gの対応バンドを変更するときに書き換える部分のことです。
具体的には、以下の部分を指します。
- RF BC Config
- 1877番
- DFS CDMA Toolでは「BCC」と省略される
- Band Preferred
- 441番、946番、2954番
- DFS CDMA Toolでは「BPC」と省略される
「RF BC Config」の役割
RF BC Configは、端末がどのバンドに接続することが出来るか(接続できる能力を持っているか)を決定します。
そのため、この項目は端末のスペックシート等に記載されている対応バンドと同じになります。
例えば、WCDMAのB1/5/6/8/19に接続できる端末では、RF BC Configも同じB1/5/6/8/19の設定値になります。
「Band Preferred」の役割
Band Preferredは、端末が接続できるバンドの内、どのバンドに接続するかを制限します。
そのため、この項目は端末のスペックシート等に記載されている対応バンドと同じか、それより少なくなります。
また、Band Preferredは端末の電話アプリから「*#*#4636#*#*」を入力して表示されるテストメニューで設定可能な「無線バンドを選択」とも関係しており、その設定値によって変化します。(詳しくは後述)
例えば、WCDMAのB1/5/6/8/19に接続できる端末では、Band Preferredは「無線バンドを選択」の設定によりB1のみであったりB1/6のみであったりします。
「無線バンドを選択」と「Band Preferred」の関係
「無線バンドを選択」とは
先ほど軽く触れましたが、「無線バンドを選択」とは以下の方法で表示可能なテストメニュー(携帯電話情報)から設定可能なものです。
- 端末の電話アプリを表示し、電話番号欄に「*#*#4636#*#*」と入力する。
- 自動的にテストメニュー(アプリ名は「テスト中」)が表示されるので、一番上の「携帯電話情報」をタップする。
- 表示されたら右上のメニューボタンから「無線バンドを選択」をタップする。
- 無線バンド選択画面が表示される。
「Band Preferred」にどう関係するのか
この「無線バンドを選択」ですが、設定すると「Band Preferred」の内容が書き換わります。
どういうことか具体的な例を用いて説明します。
今回は、OnePlus Oneを使って見ていきます。
まず、OnePlus One(国際版)の対応バンド(2G/3G)ですが、初期状態では以下のようになっています。
まず、OnePlus One(国際版)の対応バンド(2G/3G)ですが、初期状態では以下のようになっています。
- 2G(GSM)
850/900/1800/1900MHz - 3G(W-CDMA)
2100(1)/1900(2)/1700&2100(4)/850(5)/900(8)
まず、「RF BC Config」ですが画像のように対応バンドと同じ設定になっています。
そして、「Band Preferred」ですがこちらも画像のように対応バンドと同じ設定になっています。
ここから先ほどの「無線バンドを選択」で「EURO Band」を選択してみます。すると、WCDMAはB1のみになったことがわかります。(RF BC Configは変化しません)
次に、「USA Band」を選択してみます。すると、今度はWCDMA B2/5のみになりました。
ちなみに、この状態ではNTTdocomoの3G(B1/6/19)を全く掴めなくなってしまったので、接続先がB2/5のみに制限されているようです。
このように、「無線バンドを選択」の内容に応じて「Band Preferred」が変化し、端末が接続できるバンドが制限されます。
「無線バンドを選択」をリセットする
OnePlus Oneでは、「無線バンドを選択」を一度設定してしまうと初期状態(無選択状態)に戻すことが出来ません(再起動しても設定が維持される)。
元に戻すには、以下の方法があります。
- 現在の内容をカスタムリカバリ等でバックアップを取った後、Factory Reset(/sdcardは除く)を行い、バックアップをリストアする
- mmcblk0p10_modemst1とmmcblk0p11_modemst2のバックアップがある場合はそれを書き戻す
- DFS CDMA Toolなどで「Band Preferred」を「RF BC Config」と同じ設定に手動で書き換える
対応バンド変更時には「RF BC Config」と「Band Preferred」の両方を変更する必要がある
以前から対応バンド変更には1877(RF BC Config)と441/946/2954(Band Preferred)の全てを変える必要があるということはわかっていましたが、今回の検証でRF BC Configが端末がどのバンドに接続することが出来るか、Band Preferredがどのバンドに制限するかを決定していることがわかり、何故両方の変更が必要だったのかがわかりました。
また、Band Preferredは「無線バンドを選択」と関連しているということもわかりました。
NTTdocomoプラスエリア対応化時の「無線バンドを選択」と「Band Preferred」
NTTdocomoプラスエリア対応化(WCDMA B6/19)を行うと、「無線バンドを選択」に「JAPAN Band」が表示されます。(WCDMA B6のみを追加した場合でも表示される)
どうやら、RF BC Configで有効にしたバンドに応じて「無線バンドを選択」のリストが変化するようです。(内部にリストを持っている?)
この状態で「JAPAN Band」を選択し、DFS CDMA Toolで「Band Preferred」の内容を見てみます。すると、WCDMA B1/6のみになっています。B19(WCDMA IXが該当)はありません。
このように、NTTdocomoプラスエリア対応化(WCDMA B6/19)後に「無線バンドを選択」において「JAPAN Band」を選択してしまうと、WCDMA B1/6だけが有効になるため、B19が機能しなくなってしまいます。(B19を追加した意味が無い)
次に、この状態(JAPAN Band選択後)にBand Preferredの値を変更してみます。
現在は、B1/6だけになっているのをB1/6/19にしてみました。
変更後にDFS CDMA Toolで「Band Preferred」の内容を見てみたところ、WCDMA B1/6/19が有効となり、書き換えた内容が反映されていることがわかります。
ここで、「無線バンドを選択」からもう一度「JAPAN Band」を選択し、DFS CDMA Toolで「Band Preferred」の内容を見てみます。
すると、WCDMA B1/6のみになっており、書き換えた内容が消えてしました。
このことから、「無線バンドを選択」でリストにあるBand(JAPAN Bandなど)を選択した後にBand Preferredを書き換えても、Bandの内容自体(WCDMA B1/6など)を書き換えられるわけではないということがわかります。
つまり、「無線バンドを選択」でリストにあるBandはあくまでも内部でプリセットされている値であり、不変であるということです。
(もしBandの内容自体を書き換えられれば、例えばキャリア毎の内容を記述し切り替えることができるのですが…)
これに関連して、「元々WCDMA B1/6/19が有効な端末で「JAPAN Band」を選択したらBand Preferredがどうなるのか」という疑問があります。
これについてはL-01Fが該当するので後日検証してみたいと思います。→L-01F故障のため、検証できなくなりました。
これに関連して、「元々WCDMA B1/6/19が有効な端末で「JAPAN Band」を選択したらBand Preferredがどうなるのか」という疑問があります。
これについてはL-01Fが該当するので
まとめ
- 対応バンドの変更にはNVの1877(RF BC Config)と441/946/2954(Band Preferred)の変更が必要(以前からわかっていたこと)
- RF BC Configは端末がどのバンドに接続することが出来るかを決定
- Band Preferredはどのバンドに接続するかを制限
- Band Preferredは「無線バンドを選択」で選択したBand(JAPAN Bandなど)により変わる
→書いた値が消されてしまうため注意(B19が機能しなくなるなど) - 「無線バンドを選択」のリストにあるBandの内容自体は書き換えられない
よくわからなかったRF BC ConfigとBand Preferredの関係について検証を行いました(既に知っている方も居たかもしれませんが)。
ところどころを飛ばして書いてしまったのでわかりずらかったかもしれません。疑問やご意見、情報提供などをコメントして頂けるとありがたいです。