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WindowsとAndroidのデュアルブートタブレット「Teclast X80 Power」―安くて高性能だが品質に難あり

中国の端末通販サイトGearBestからWindowsとAndroidのデュアルブートタブレット「Teclast X80 Power」を頂いたのでレビューしたいと思います。

Teclast X80 Power

初めに端末について簡単に紹介します。

Teclast X80 Powerは名前の通り、中国のTeclast(台电科技)というメーカーのタブレット端末です。

最大の特徴はWindows 10とAndroid 5.1のデュアルブート対応。2つのOSを搭載しており、切り替えて両方使うことが出来ます。

スペックは、最新世代のIntel Atom x5-Z8300 4コア、2GB RAM、WUXGA(1920 x 1200)画面、microSD対応などなかなかの高性能。

価格は$105=約11,000円と非常に安価です。

メーカーTeclast
名称X80 Power
価格$103.99 (GearBest) / $106.83 (Everbuying) ※2016/7/5時点
OSWindows 10 + Android 5.1 "Lollipop" (デュアルブート)
SoC
CPUIntel Atom x5-Z8300 1.44GHz 4コア
GPUIntel HD Graphics 200MHz
RAM2GB
ROM32GB
サイズ高さ:208.3mm / 幅:123.4mm / 厚さ:7.2mm
重さ320g
画面8インチ / WUXGA (1920 x 1200) 60p / IPS液晶 / 5ポイントタッチパネル
バッテリー3,800mAh
リアカメラ200万画素
フロントカメラ200万画素
microSD対応
接続端子microUSB / 3.5mmヘッドホンジャック / microHDMI
無線通信Bluetooth / Wi-Fi IEEE 802.11 b/g/n 2.4GHz
スピーカーステレオスピーカー
シルバー (メタルボディ)

配送や梱包について

製品紹介の前に、GearBestの配送・梱包がどのようなものか参考までに掲載しておきます。

DHL発送で、現地発から到着まで約3日でした。
GearBestでは、無料配送(船便?)と有料配送(DHL)を選ぶことが出来るようですが、速く手に入れたい場合はDHLをおすすめします。
ちなみに、掲示板等の報告を見てみると無料配送では40日以上かかるようです。

荷物はお馴染みのDHLの袋に包まれていました。
製品の箱は緩衝材と一緒にダンボールに入れられています。少なすぎず過剰すぎずといった梱包で必要十分ですね。
お馴染みのDHLの袋
袋の中にはダンボールが
緩衝材と一緒に製品パッケージが入っていた

パッケージと内容物

「ULTRAPAD」の文字が目立つパッケージです。そういうシリーズなのでしょうか?
左上にメーカーである「Teclast」のロゴ、左下に搭載CPUの「Intel」ロゴが入っていますね。
「ULTRAPAD」の文字が目立つパッケージ
裏面にはスペックが書いてあります。中国語ですがなんとなく理解できますね。
一部が黒く塗りつぶされているのは何故なのでしょう……。
黒塗されたスペック欄
開けるとまずは本体が目に入ります。
その下には説明書や付属品が入っています。
説明書は英語か中国語で書かれており、日本語は一切ありませんでした。
英語で書かれた説明書
付属品と中国語で書かれた説明書や保証書
入っていたものはこんな感じでした。
内容物一覧
なお、画面には最初から保護フィルムが貼ってあります。
……が、開封時点でキズだらけでしたのであまり期待しないほうが良いと思います。

裏面にも保護フィルムが貼られていますが、こちらはあくまでも輸送時等に保護するためのものなようです。
裏面を保護するフィルムが貼られていた(表面にもある)

前面・背面

Windowsロゴが目立つ前面です。このロゴは単なるデザインだけでなく、ボタンとして機能します。

前面背面共にカメラは200万画素。ビデオチャットなどで使うなら十分なレベルです。
Windowsロゴが目立つ前面
左上には通知LEDが内蔵されています。
左上には通知LED
LEDの写真でもわかるのですが、ガラスはエッジまで覆っていません。一番外側はラウンドしたプラスチックになっています。
この構造により、2.5Dエッジ(ラウンドエッジ)風なデザインになっています。
エッジはラウンドしたプラスチック
続いて背面。こちらは一面シルバーとなっています。シルバー部分はすべて金属製です。
こちらも前面と同じくエッジがラウンドしています。
背面
表面はザラザラしています。同じ金属背面のNexus 6Pと比べると、こちらの方が若干荒く、安っぽい感じがします。
ザラザラした表面
音量ボタン、電源ボタン、microHDMI、microUSB、イヤホンジャック、microSDスロット、マイク穴の全ての位置にアイコンが印刷されています。
ちょっと過剰すぎる気がしますね。このせいで安っぽさが増しているような……。
機能部全てにアイコンが印刷

側面

前面・背面のエッジだけでなく、見ての通り側面もラウンドしています。加えて、7.2mmという薄さもあって非常に持ちやすいです。

microHDMI、microUSB、イヤホンジャックといった接続端子は上に集約されています。
上面
下にはステレオスピーカーがあります。音量も十分で、ゲームや動画視聴にも耐えうる音質でした。
下面
電源、音量ボタンといった操作系とマイクは右側面に集約されています。microSDスロットは左側面に配置されています。
ボタン類はガタつくこと無く、押した感触もしっかりしています。
右側面(左から、マイク穴、音量ボタン、電源ボタン)
左側面(microSDスロット)

他の端末との比較

参考までに、同じ8インチ画面を搭載したCHUWI Hi8 ProとASUS ZenPad 8.0と比較してみました。

ほとんど同じですが、若干長いですね。その一方で、厚さは一番薄いです。
前面の比較(左から、Teclast X80 Power、CHUWI Hi8 Pro、ASUS ZenPad 8.0)
背面の比較(左から、Teclast X80 Power、CHUWI Hi8 Pro、ASUS ZenPad 8.0)
厚さは一番薄い(左から、Teclast X80 Power、CHUWI Hi8 Pro、ASUS ZenPad 8.0)

デュアルブートを試してみた

冒頭紹介したように、本機はWindows 10とAndroid 5.1のデュアルブート端末です。

ということで、実際にそれぞれを起動してみました。

電源を入れるとこのような選択画面が表示されます。このアイコンをタップして「OK」をタップすれば指定したOSが起動するというわけです。
起動時にAndroidかWindowsかを選択

Android

元々マルチランゲージ対応なOSなので、もちろん日本語設定も可能です。
日本語も普通に表示可能
プリインストールアプリはこれだけでした。意外にも少ないです。
Google Playストアも最初から入っています。
意外にもプリインアプリは少ない
また、これらのプリインアプリはほとんど削除可能でした。
「ダウンロード済み」に表示されており、削除可能
バージョンはAndroid 5.1でした。
Androidバージョンは「5.1」
ストレージは約4.8GB。かなり少ないですね。microSDカードが必要でしょう。
残りはWindows 10に割り当てられているのでしょうか。
ストレージ容量は約4.8GB
メモリの空きは1.4GB。プリインアプリが少ないためか、かなり空いています。
メモリは1.4GBも空いていた
電源ボタン長押しメニューにはへの切り替えボタンがありました。「Boot to Windows」をタップするとWindows 10が起動します。
Windows 10への切り替えが可能な電源メニュー

Windows 10

Windowsを起動したところです。最初から「admin」というアカウントが作成されています。
まだほとんどソフトをインストールしていないからかもしれませんが、わずか十数秒で起動しました。
「admin」アカウントが最初から存在していた
電源を入れた時点では英語と中国語しか選択できなかったので、メーカー公式ROMを使って初期化し、日本語化してみました。

PCに搭載されているものとなんら変わらない普通のWindows 10です。
ごく普通のWindows 10
もちろん横向き表示もできます。
横向き表示も可能
ストレージはCドライブのみ。約20GBでした。
ストレージは約20GB
Windows 10 Home 64bitを搭載しています。
なお、タッチは最大5点までとなっていました。(Androidも同じ)
Windows 10 Home 64bitを搭載
タブレットモードにしてみました。このモードでは各アイコンが大きく表示され、タップでも簡単に操作できるようになります。
タブレットモード
「SwichNOW」というソフトでAndroidへの切り替えることができます。
「SwichNOW」でAndroidへ切り替え

両OS共にサクサク動作していました。
ブラウジングなど日常的な用途ではどちらでも快適に使えます。

買ったらまずは初期化を

初めて電源を入れたにも関わらず、既に使用されていた形跡がありました。
両OS共に初期設定画面が表示されず、Androidに至ってはいくつかのアプリが履歴画面に残っていました。

恐らく検品や動作確認のため、メーカーか販売店がセットアップしたものと思われます。

無いとは思いますが、意図しないアプリやソフトがインストールされている可能性もあるため、まずは初期化することをオススメします。

Androidは設定メニューから初期化します。
Windowsはメーカー公式ROMを使って初期化を行います。

実際の使用感

持ちやすさは非常に良い

途中にも書きましたが、ラウンドしたエッジ・側面に7.2mmという薄さで非常に持ちやすいです。

約1万円という激安タブレットとは思えないフィット感でした。

動作はサクサク、発熱はあるが酷くはない

搭載メモリが2GBと、Androidとしてはまあまあ、Windowsとしては少ない本機ですが、意外にも両OS共にサクサク動きました。

タップやスワイプも遅延なく位置も正確に認識しており、ブラウジングやSNSなどの軽い作業では全く問題ありませんでした。(重い3Dゲームは流石にカクつきます)

本体上部(フロントカメラの裏辺り)が発熱するものの、持っていられないほど酷くはありません。
金属筐体のおかげか、放熱がしっかり出来ているようです。

電池持ちは良くない

Windows 10側の評価となりますが、あまり電池持ちは良くありません。フル充電から使い続けると、3~4時間程度で充電が必要になります。
91%の時点でも「残り3時間16分」と表示されています。
91%時点で「残り3時間16分」
恐らくAndroidではもう少し長く使えるのだろうと思いますが、それでも普通のタブレットと同じ駆動時間は期待できないと思います。
ガンガン使う場合はモバイルバッテリーなどを用意しておかないと厳しいでしょう。

品質で気になる部分が

いろいろと気になる部分があったのですが、特に気になった部分をいくつか挙げてみました。

光漏れが多い

これは液晶画面の宿命なので仕方ないのですが、光漏れが多数ありました。明るいところでもこれだけはっきりわかるので、暗いところではもっと目立つでしょう。
複数箇所から光漏れ

エッジに最初からキズがある

側面1周にかけて、成形加工時に出来たと思われるスジ(段差?)がありました。
画像ではわかりづらいのですが、microSDカードスロットの上辺りに見えるものです。

実用上は全く問題無いのですが、大手メーカーの製品ではこのような成形スジはありません。
成形スジがあった
続いてエッジ部分。
ボタン付近のフレームが最初から欠けていました。組み立て時に気付かれず、検品もそのまま通ってしまったのでしょうか。
エッジ部分に欠けがある

画面の発色が異常

これが一番問題です。

同じ価格帯のCHUWI Hi8 Proと比べてみました。
明らかに非常に暗く、青っぽい画面であることがわかります。実際の見た目は画像以上に酷いです。
これでは同じ画像を表示しても、異なる色に見えてしまいます。

どうやら色温度が異常に高いようですが、ここまで酷い端末は初めてです。今まで様々な端末を目にしてきました中で間違いなく最悪ですね。

普通、このような部品は検品時に弾かれると思うのですが、一体どうなっているのでしょう……。
Teclast X80 PowerとCHUWI Hi8 Proとの比較(両端末共に輝度最大)
少し調べてみると、"GearBestから購入したが、異常に青かった"という報告が何件かありました。
他のところで購入された方は問題ないようなので、どうやらGearBestが販売しているロットに問題があるようです。

このロットを扱っているのがGearBestだけとは限りませんが、少なくともここから購入するのは避けたほうが良いかもしれません。


これが解決策と言って良いのかわかりませんが、miniHDMI出力があるので外部ディスプレイに出力すれば一応なんとかなります。
タブレット端末の意味がほとんど無くなってしまいますが……。

価格と性能は良いが、品質に難あり

性能はカタログ通り快適。WindowsもAndroidも遅延なくサクサク動作していました。ステレオスピーカーの音質も良いので、動画やゲームが捗りそうです。
電池持ちの悪さが気になりますが、約1万円でここまで動作できれば十分だと思います。サブ機として優秀な1台です。

一方、品質は価格なりか、それ以下です。
フレームの欠けもかなり問題ですが、画面の異常発色は使用上支障があるレベルで酷いです。
約1万円という価格にクオリティを求めるのは間違っていると思いますが、それにしてもちょっと……という感じ。動作面での性能が良いだけに、本当にここだけは残念です。

掲示板等を見てみるとこのような不具合に当たっていない方もいるので、個体間で大きな品質差があるようです。


トータルとして、「品質は気にしない、とにかく安く、高性能で、手軽に買える端末が欲しい」という方向けの端末だと思います。約1万円という価格に対して十分に満足できる性能・スペックを有しています。

一方で、画面発色を初めとした品質のバラつきが大きいため、カタログやスペック通りの完璧クオリティを求める方には向いていないと思いました。


Teclast X80 PowerはGearBestなどの端末通販サイトにて約$107で販売されています。
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