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【Nexus 5X】日本のLTE B28はradioにより無効化、全キャリアで接続不可能な模様

Nexus 5Xについて、日本のLTE B28はradioにより無効化されており、全キャリアで接続不可能な模様だったことについてです。

Nexus 5XのLTE B28はNTT docomo、SoftBankでは接続できないことが既に知られていますが、加えてauでも接続できず、日本の全キャリアで使えない可能性が高かったのでその理由を書いています。

Nexus 5XのLTE B28

LTE B28について

Nexus 5Xはスペックシートにあるように、LTE B28に対応しています。
このLTE B28は、APT700という名前で知られるアジア太平洋地域の共通バンドです。
そのため、LTE B28に対応していればアジア各国のモバイル通信が利用可能です。(まだサービスしていないところもあり)

実は2つに分かれているLTE B28

LTE B28として定義されている周波数は以下のようになっており、45MHzの帯域幅があります。
  • 上り(アップリンク):703MHz~748MHz(45MHz幅)
  • 下り(ダウンリンク):758MHz~803MHz(45MHz幅)
しかし、実際は連続しているわけではなく、下の画像のように分かれています。
  • 上側(Upper)
    • 上り:718MHz~748MHz(30MHz幅)
    • 下り:773MHz~803MHz(30MHz幅)
  • 下側(Lower)
    • 上り:703MHz~733MHz(30MHz幅)
    • 下り:758MHz~788MHz(30MHz幅)
このように、一部重なるようにして30MHz幅で2つに分かれています。
そのため、LTE B28に完全対応するには上側と下側の両方が端末に実装されている必要があります。

日本のLTE B28

日本におけるLTE B28の状況ですが、以下のように3者に10MHz幅ずつ全て上側(Upper)に割り当てられています。(SoftBankはY!mobileとして割り当て)
日本におけるLTE B28の割り当て状況

Nexus 5Xは下側(Lower)のみ対応

LTE B28は上下に分かれていますが、実はNexus 5Xは下側しか対応していません

ここで問題となってくるのが、日本のキャリアでの使用です。
先ほどの示した画像のように、日本で使用される予定の周波数は全て上側の範囲で割り当てられています。
そのため、Nexus 5XはNTT docomo、SoftBank(Y!mobile)から販売されているのにもかかわらず、それらのLTE B28が利用できないということになります。(公式発表でも非対応とされています)

ちなみに、このように「LTE B28対応だが実は片方だけ」という端末はいくつかあるようなので、購入の際には注意したいところです。

auでは使える?

先ほど示した画像ですが、下側の一部(15MHz)が上側と重なっており、auの周波数だけは完全に収まっています。(図の斜線部)
そのため、下側のみ対応のNexus 5Xでも使用できるのでは?と思うかもしれません。

ですが、検証の結果、使用できない可能性が高かったのでその理由を書いておきたいと思います。

日本のLTE B28がradioによって全て無効化

端末の対応バンド(どの周波数を掴めるか)を制御しているファイルに「radio」というものがあります。
この「radioを分解したところ、日本のキャリアのLTE B28が全て無効化されていた」という情報があったため、実際に検証してみました。

使用したのはNexus 5Xの最新Factory Image(6.0.0 (MDB08I))です。
ダウンロード後、ファイルを解凍して「radio-bullhead-m8994f-2.6.28.0.65.img」を取り出し、7zipで展開しました。

radioファイル中の「mcfg_sw.mbn」で設定されている

Nexus 5Xのradioには様々なファイルが含まれていますが、今回関係するのは「modem_pr/mcfg/configs/mcfg_sw/generic/apac」以下の含まれるファイル群です。(「apac」はアジア太平洋の意味?)
上記のパスに含まれているのはこれらフォルダで、それぞれ日本のキャリアに対応しています。
各キャリアフォルダの下には原則として「commerci」というフォルダがあり、その中には「mcfg_sw.mbn」というファイルが存在します。
どうやらその「mcfg_sw.mbn」の後半部分に設定に関するxmlファイルが埋め込まれているようです。

まずは、NTT docomo(dcm)のmcfg_sw.mbnを見ていきます。
NTT docomoとSoftBankに関する記述があります。その中で「Japan domestic band for DCM」に注目してみます。
どうやら「gw_bands」が3G(W-CDMA)、「lte_bands」がLTEを設定しているようです。
「gw_bands」について、「22 27 60」は「B1/6/19」を表しています。(こちらと同じ表記)
「lte_bands」について、「0 2 18」と書かれていますが「B1/3/19」を表していると推測でき、確かにB28の表記がありません
同じように、その下に書かれているSoftBankでも表記がありません。

次に、「reliance」フォルダのmcfg_sw.mbnを見ておきます。
「Define the PLMNs in which LTE band 28 is enabled」という部分がB28が有効なキャリア(PLMN)を設定していると推測できますが、NTT docomo・SoftBank・auはありません
(逆に「505-01 505-02 530-05 466-01 722-07 722-310 714-01」のキャリアでしか有効にならないようです。)

ちなみに、他にも「china」「korea」「na」などといったフォルダがあり、各地域のキャリアが設定されているようです。

まとめ

  • LTE B28は上側と下側に分かれている
  • 日本のキャリアは上側を使用、Nexus 5Xは下側のみ対応なため使用できない
  • 加えて、radioにより日本の全キャリアのLTE B28が無効化されている
ということで、結局Nexus 5XのLTE B28は日本では全く使用できないことがわかりました。
Nexus 6Pはどうなっているかわかりませんが、Factory Imageがリリースされれば同じように検証できると思います。
※今回はradioファイルのみ確認しましたが、これが本当に端末の対応バンドを決めているのかということは検証していません。全く関係していない場合は掴める可能性もあります。

また、Nexus 5ではLTE B19対応化が行われましたが、Nexus 5Xでもradioを含めて変更を行えばauのLTE B28が利用できるようになるかもしれません。
更に、対応バンド変更ではradio自体の改変はあまり注目されていなかったので、今後はここも考慮しつつ変更することで掴めるようになる端末が増えるかもしれません。
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