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ASUS ZenPad 8.0 (Z380KL)のroot化やカスタムROMの導入方法(ROM焼き)

ASUS ZenPad 8.0 (Z380KL)のroot化やカスタムROMの導入方法です。
具体的な手順や元に戻す方法などを解説しています。

ASUS ZenPad 8.0 (Z380KL/P024)のroot化・ROM焼き

「ASUS ZenPad 8.0」は、台湾のASUSTek Computerが製作した8インチタブレットです。
OSはAndroid 5.0.2、SoC(CPU)は64bit 4コア、RAMは2GBで、ロー~ミドルレンジに属する端末です。

詳しいスペックや特徴などはこちらの記事をご覧ください。

そんなZenPad 8.0 (Z380KL/P024)ですが、Nexus端末などと同様にroot化やROM焼きを行うことができます。

今回は、実際に端末のroot化やROM焼きをしつつ、方法を説明します。

なお、カスタムROMやroot化についての基本的な知識は以下の記事を参照して下さい。
基本的には同じ手順なので、参考になるはずです。本記事と合わせて読むことをオススメします。

仕様が異なるモデルに注意!

ZenPad 8.0 (Z380KL/P024)では、同じ名前にも関わらず仕様が異なる複数のモデルが存在しています。

今回紹介する方法は、Snapdragon 410シリーズを搭載したZ380KL(デバイス名:P024)でのみ有効です。
(同じSnapdragon 410ならばクアッドコアやオクタコアモデルでもOKです)

通話機能が付いていないZ380Cでは使用できないのでご注意下さい。(搭載SoCが異なる)

また、海外で販売されているSnapdragon 6XXシリーズ搭載モデルでは使用できない可能性が高いので注意して下さい。(未検証)

BootloaderのUnlockが不要でroot化・ROM焼きが可能

root化・ROM焼きのために、まずはカスタムリカバリを起動する必要があります。

Nexusを始めとした多くの端末では、カスタムリカバリを起動するためにBootloader(ブートローダー)をUnlock(アンロック)しなければなりません。
これは、「fastboot boot ~」や「fastboot flash ~」といったfastboot(ファストブート)コマンドが使用できないからです。

ところが、ZenPad 8.0 (Z380KL)ではBootloaderをUnlockせずにfastbootコマンドを使用することができます。
そのため、BootloaderをUnlockせずにLock状態のままカスタムリカバリを起動し、root化・ROM焼きが可能です。

※「fastboot oem unlock」でUnlockすることも可能ですが、どうなるか検証していません。(現状、Unlockする必要がないため)

本体バージョン「JP_V4.8.2」時点での話です。今後のアップデート等により、Unlockしないとfastbootコマンドが使用できなくなる場合もあります。

microSDの「内部ストレージとしてフォーマット」が使える

Android 6.0のカスタムROMでは、microSDを内部ストレージとしてフォーマットすることができるため仮想的にストレージを増やすことができます。

ZenPad 8.0のROM容量は16GB(法人モデルは8GB)なので、多数のアプリやコンテンツを保存する際は非常に有効な機能です。

この機能を使用したい場合は、カスタムROM(Android 6.0)導入後、「設定」アプリの「ストレージとUSB」からmicroSDを選択し、メニューボタンから「設定」を開いて「内部ストレージとしてフォーマット」を行って下さい。
※microSD内部のデータが全て削除されます!

root化・ROM焼きの事前準備

カスタムリカバリ(TWRP)のダウンロード

ZenPad 8.0 (Z380KL/P024)には有志の方が作成した非公式版TWRPが提供されています。

今回はこのTWRPをカスタムリカバリとして使用するので、予めダウンロードしておいて下さい。
  • vasy.ru CyanogenMOD OTA
    →リンク先の「twrp-3.0.2-0-20160407-P024.img」をクリックし、ダウンロードしておく
    ※より新しい物がある場合はそちらを使用して下さい
なお、基本的なTWRPの使い方・操作方法や設定については「【TWRP】Team Win Recovery Project(チームウィンリカバリプロジェクト:TWRP)の起動と操作・使用」を参照して下さい。

adb・fastbootコマンドを使えるようにしておく

こちらの記事を参考に、Android SDKなどを導入し、ドライバをインストールしてadb・fastbootコマンドを使えるようにしておいて下さい。

Bootloaderの起動

まずはBootloaderを起動します。

基本的にはこちらの記事と同様に、電源OFF状態からボタン操作またはOS起動状態から「adb reboot bootloader」で起動することができます。

今回は、端末の電源を完全にOFFにした状態からボタン操作で起動してみます。
  1. 端末の電源を完全にOFFにする
  2. 「音量+」と「電源」ボタンを画面が変わるまで同時に押し続ける
  3. Bootloader画面が表示されたらボタンを離す
    Bootloader画面
Bootloaderが起動できたらカスタムリカバリを起動します。

ちなみに、Bootloader画面の各項目は以下の通りです。音量+/-ボタンで移動電源ボタンで選択・実行です。
  • 「Enter SD down mode」
    →リカバリを起動し、microSDカードに配置したメーカー公式ROMをインストール
    ※「JP_V4.8.2」現在、標準リカバリは起動しません(バグ?)
  • 「Factory Reset」
    →端末の初期化(ストレージ内は削除されない?試してないので不明)
  • 「Exit update mode」
    →Bootloaderを終了しOSを起動
なお、右下の鍵アイコンBootloaderのロック状態(Locked/Unlocked)を示しています。(上画像ではLocked状態)

また、「fastboot oem device-info」でもBootloaderの状態を確認することができます。(画像では「Device Unlocked: false」となっており、Lockされていることがわかる)
「fastboot oem device-info」でロック状態を表示可能

カスタムリカバリの起動

各種ファイルを導入するため、カスタムリカバリを起動します。基本的な手順はこちらの記事と同様です。
  1. コマンドプロンプトを起動する
  2. fastboot boot 」と入力する
    ※最後の半角スペースを忘れずに
  3. ダウンロードしたカスタムリカバリ(.img)を画面上にドラッグアンドドロップする
    ※カスタムリカバリのimgファイルが自動で入力されます
  4. Enter」キーを押し、実行する
  5. カスタムリカバリが端末に転送されるので、起動するまでしばらく待つ
  6. 補足手順:端末にこのような画面が表示された場合は、「Keep Read Only」をタップして下さい
  7. 画面が表示され、起動したことを確認する
以上が、カスタムリカバリを起動する方法です。

カスタムリカバリを起動したら、まずは「標準ROMのバックアップ」を行います。上記の方法で起動した場合、システムや標準リカバリをクリーンな状態でバックアップすることができます。


なお、毎回コマンドプロンプトを起動し「fastboot boot ~」と入力するのは面倒です。なので、batファイルを作るか、カスタムリカバリを端末に書き込むことをオススメします。

端末に書き込んだ場合、PCがなくてもカスタムリカバリ起動することができるので便利です。

詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

※カスタムリカバリを端末に書き込む場合(fastboot flash recovery)は、必ず事前に「標準ROMのバックアップ」でを行ってバックアップを取って下さい!上書きされてしまうため、元に戻すことができなくなります!

標準ROMのバックアップ

カスタムリカバリを起動したら、まずは現在のROMをバックアップします。

基本的な手順はこちらの記事の「ROMのバックアップ・復元」と同様です。

標準ROMのバックアップを行わないと元に戻すことができなくなります!必ずバックアップしてください!
  1. カスタムリカバリを起動する
  2. Backup」をタップする
  3. 各項目をタップして、全てにチェックを付ける
  4. Select Storage」をタップする
  5. Internal Storage」(内部ストレージ)か「Micro SDCard」(microSD)をタップしてバックアップ先を選択し、「OK」をタップする
    ※容量が空いていないとバックアップできないので注意して下さい
  6. Swipe to Backup」の矢印アイコンを左から右にスワイプし、バックアップを実行する
  7. ログ画面に「...done」と表示されバックアップが終了したことを確認し、ホームボタンをタップして戻る
以上が、標準ROMをバックアップする方法です。


バックアップしたファイルは、「Select Storage」で選択したストレージの「TWRP」フォルダに保存されています。そのままにせず、PCなどにコピーし絶対に無くさないよう厳重に保管して下さい。


なお、バックアップしたROMを復元する方法はこちらの記事を参照して下さい。

全パーティションのバックアップ

端末内の全てのパーティションをバックアップします。(modemなどもバックアップされます)

この作業は任意ですが、出来るだけ実行しておくことをオススメします。

バックアップはツールを使って簡単に行うことができます。
詳細な手順はこちらの記事を参照して下さい。

標準ROMをroot化する

今回は、標準ROMをroot化する方法カスタムROMを導入する方法(ROM焼き)を説明します。

まずは、元々搭載されている標準ROMをroot化する方法です。

必要なファイル

root化にはカスタムリカバリから導入可能な「SuperSU」を使用します。

予めダウンロードし、端末内(内部ストレージ/microSD)に移動しておいて下さい。
  • SuperSU Download
    →リンク先の「Download」の右側をクリックしてダウンロードし、端末内に移動しておく
    ※更新等により画像とファイル名が異なる場合があります

SuperSUを導入する

ダウンロードしたSuperSUを端末に導入します。
  1. カスタムリカバリを起動する
  2. Install」をタップする
  3. Select Storage」をタップする
  4. SuperSUの保存先に応じて、「Internal Storage」(内部ストレージ)か「Micro SDCard」(microSD)をタップし、「OK」をタップする
  5. SuperSUをタップして選択する
  6. Swipe to confirm Flash」の矢印アイコンを左から右にスワイプし、インストールを実行する
  7. ログ画面に「...done」と表示されインストールが終了したことを確認し、「Reboot System」をタップしてOSを起動する
  8. OSが起動したら、アプリ一覧に「SuperSU」が追加されroot化されていることを確認する
以上が、SuperSUを導入して標準ROMをroot化する方法です。


なお、root化するとXposedを導入することが可能になります。Xposedは様々な機能をシステムを改変することなく簡単に追加できる仕組みです。
詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

標準ROMを更新するときは

元々搭載されているメーカー公式の標準ROMを更新する際は、全て標準ROMの環境に戻す必要があります。TWRPのバックアップなどから復元(リストア)を行って下さい。

リカバリを書き換えている場合やroot化している場合はそれらも完全に元に戻して下さい。

その後、OSを起動し、更新がダウンロードされるのを待って下さい。


また、更新先のROMが公式サイト等で配布されている場合は、「元に戻すには」の手順で更新することができます。

カスタムROMを導入する(ROM焼き)

続いて、元々搭載されている標準ROMを消去し、新たにカスタムROMを導入する手順です。

Nexusと同様に、カスタムROM本体のファイルGoogleアプリがセットとなったgappsが必要となります。

必要なファイル:カスタムROM

ZenPad 8.0 (Z380KL/P024)向けのROMをいくつか紹介するので、導入したいROMをダウンロードし、端末内(内部ストレージ/microSD)に移動しておいて下さい。

CyanogenMod 13

2016/7/30より公式配信が開始されました。詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

まずは、Android 6.0がベースCyanogenMod 13です。こちらは有志の方により作成された非公式版となっています。
実際に導入してみましたが、カメラ等も完全に動作しており非常に安定していました。
  • vasy.ru CyanogenMOD OTA
    →リンク先にあるファイルのうち、末尾が「P024」であるもの(「cm-13.0-20160407-UNOFFICIAL-P024.zip」など)

Resurrection Remix

また、上記CM13のソースコードを元にして、機能が豊富なカスタムROMとして有名なResurrection Remix(通称:RR)を作成(ビルド)することができます。こちらもAndroid 6.0がベースです。

配布している方は居ないようですが、今回は独自にビルドしたものをダウンロード出来るようにしておきました。
  • Resurrection Remix - MEGAGoogle Driveにて配布Android File Hostにて配布(OTA対応)
    リンク先より一番新しいzipファイルをダウンロードして下さい
    ※md5sumは確認ファイルなのでダウンロード不要
    ※一部のROMは沙綺氏(@riku_sakura)の協力によりビルドしています。ありがとうございます!
Resurrection Remixは簡単にビルドすることができます。ソースコードの改変などは不要で、ファイルを適切に配置するだけです。

こちらに書かれている一般的なRRのビルド方法がほぼそのまま使えるので、自分でビルドしてみたい方は参考にしてみてください。

~2016/6/9追記~
20160604以降のROMについて、SIMを認識しないためモバイルネットワークが使用できません。(Android 6.0のグローバル版公式ROMのファイル(RIL)が使用されているため)
モバイルネットワークを使いたい方はそれより前のROMを使用して下さい。
→20160608から修正され、認識するようになりました。

AICP(Android Ice Cold Project)

AICPも非公式ながら配信されています。

詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

必要なファイル:gapps

カスタムROMの他に、Googleアプリの詰め合わせであるgappsが必要となります。事前にダウンロードし、端末内(内部ストレージ/microSD)に移動しておいて下さい。
ROMと同じ場所(内部ストレージ/microSD)に保存して下さい

どのgppasを使用しても問題ありませんが、定期的に更新されており無駄なアプリが少ない「The Open GApps Project」の「nano」パッケージがオススメです。
  • The Open GApps Project
    「Platform」は「ARM」を、「Android」は「6.0」を、「Varient」は「nano」を選択し、「↓」アイコンをクリックしてダウンロード

実際にカスタムROMを導入する

今回は、私がビルドしたResurrectionRemixを導入してみたいと思います。(CyanogenMod 13も同じ手順です)

元々導入されているROMの消去

まずは、元々導入されているROM(標準ROMなど)を消去(Wipe)します。
  1. カスタムリカバリを起動する
  2. Wipe」をタップする
  3. Advanced Wipe」をタップする
  4. Dalvik / ART Cache」「cache」「Data」「system」の4つををそれぞれタップし、チェックを付ける
    「Internal Storage」と「Micro SDCard」は絶対にチェックしないで下さい!ストレージ内部のデータが削除されます!
  5. Swipe to Wipe」の矢印アイコンを左から右にスワイプし、消去(Wipe)を実行する
  6. ログ画面に「...done」と表示され消去(Wipe)が終了したことを確認し、ホームボタンをタップして戻る
以上が、元々入っているROM(標準ROMなど)を消去(Wipe)する方法です。

カスタムROMとgappsをインストール

続いて、カスタムROMとgappsをインストールします。
なお、キューイング機能を使ってROMファイルとgappsファイルを続けてインストールします。
  1. カスタムリカバリを起動する
  2. Install」をタップする
  3. Select Storage」をタップする
  4. ROM/gappsの保存先に応じて、「Internal Storage」(内部ストレージ)か「Micro SDCard」(microSD)をタップし、「OK」をタップする
  5. ROMファイルのあるフォルダまで移動し、ファイルをタップして選択する
  6. Add more Zips」をタップする
  7. gappsファイルをタップして選択する
  8. 他に追加でインストールしたいファイル(Xposedなど)がある場合は手順6~7を繰り返す
  9. Swipe to confirm Flash」の矢印アイコンを左から右にスワイプし、インストールを実行する
  10. ログ画面に「...done」と表示されインストールが終了したことを確認し、「Reboot System」をタップしてOSを起動する
  11. OSが起動するまでしばらく待つ(時間がかかります)
    ※途中、一度再起動するような動きをしますが、待っていれば起動します
  12. 「ようこそ」画面が表示され、OSが起動したことを確認する
以上が、カスタムROMを導入する方法です。

カスタムROMを更新するときは

同じROM(Resurrection Remix→Resurrection Remixなど)ならば、上書きインストールで更新することができます。消去(Wipe)不要です。

事前にTWRPでバックアップを取った上で、新しいROMファイルと新しいgappsファイルをダウンロードし、両方を上書きして下さい。
手順は「実際にカスタムROMを導入する」と同じです。

※大きな変更が入った場合などは上書きインストールでは起動しないことがあります。その場合は「異なるROM」と同様の手順で更新して下さい。


一方、異なるROM(Resurrection Remix→CyanogenModなど)では、一度ROMを消去(Wipe)し、新たにインストールする必要があります。
「カスタムROMを導入する(ROM焼き)場合」の手順を頭から行って下さい。

元に戻すには

ZenPad 8.0(Z380KL)には、標準ROMがASUS公式にて配布されています。元に戻す際は、この標準ROMをダウンロードし、カスタムリカバリから導入します。
導入は普通のカスタムROMと同じように、TWRPの「Install」から行います。

但し、System(システム)領域に標準ROMがインストールされている必要があります。カスタムROM導入状態ではエラーが発生してインストールできません。

詳しい方法は「ASUS ZenPad 8.0 (Z380KL)へのFactory Imageの書き込み」を参照して下さい。
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